木下家の1日は、遥(河合優実)、妹の祈(根本真陽)そして母・愛子(田中麗()奈)による食事の感()謝の()“祈り”から始まる。教団の教えに反するからと、高校生らしい友との遊びや部活を一切禁じら()れてきた遥。ある日、同じ教団の信者で同級生の義也とカ()ラオケに繰り出すが、愛子の怒りを買い、やが()て学校へ通う()ことを禁じられてしまう。かつて失敗が多く苦労してきた愛子は、誘惑の多い世界で娘に同じ苦しみを絶対に経験させたくなかった。
()家族の中でただ一人信者ではない父・信二(森山未來)は()、土日を返上して働いて()も貧しさから抜け出せず、家族に申し訳ないと感じていた。休みを得られたとある週末、家族みんなで水族()館に行く提案をする。やっとかなった、家族の()ひと時。信二は、愛しい娘たちが「自分()が信じる道を生きる()」ことを願った。だがそれは、父の最期の愛情となってしまう。遥は父の急死()を目の当たり()にし、家族よりも神を優先させた母へ怒りをぶつけ、家を飛び出してしまう。一方祈は、孤独になってしま()った母を守るため、より強い神()への誓いを立てる。
遥が初めて接す()る、ネオンに包まれた“外”の世界()。何をすれば良()いか、どこに行()けば()良いか…混乱する。そして、通りすがりの男に声をかけられる。その男のつながりでキャバクラに()て働く道を得た遥は、思いがけず()、自分の心に押し込()め()てい()たものを()噴()出させる。それは、神から離れ母と妹を置き去りにしてきた罪の意識であり、遥を強く縛り続けていた。
数年が経ち、祈は変貌を遂げた姉の姿を目撃する()。「家から抜け()出しても神様が心から居なくならない」と葛()藤する遥のつぶやきを()聞き、祈は遥の手を()包む。姉がようやく吐露できた苦しみに自らの思いを重ね合わせる()ように。
そして二人は、母のもとへと向かう。子どもたちをお腹に宿()した時、その幸せを願ったはずの愛子は、遥と祈を受け入れることができる()のか…。