初夏のオフィス街を、大学生の秋山俊夫は高級乗用車を走らせていた。同乗()している北島淳、森下、藤枝()もみな大学四年生だ。彼らは銀行帰りの郁子の前に車を止めた。彼女は俊夫の父秋山()物産社長の秘書である。郁子()を無理()に乗せ、淳と森下は金を奪った。俊夫はやがて「遊びも()これ()までだ」と金をかえ()すよう命令した。郁子は「大学()までいっててロクデナシね」と言()い捨てて降()りた。ブルジョワ息子の俊夫と藤()枝は盗むことに()快感を得、森下はその金に誘惑を感じ、淳はなんの興味もなかった。--数日後の夕刻、郁子は同僚の篠()原から映画に誘われ困惑していた。待っていた淳は、篠原を無視して強()引にパーティに誘った。会場に行()くと、大きな拍手が起こった。俊夫たちが郁子を()帰国したばかりの新進シャンソン()歌手にデッチ()あげていたのだ。俊夫たちは立往生している郁子を見()て喜んだ。ピアノが演奏し始めた時淳が電気のスイッチを切った。車()で待っ()ていた。翌日、淳は森下らにパーティの損害弁償を迫られた。淳が払わ()ないというと、学生たちは郁子に電話して払うことを約束させた。乱闘となった。俊夫が金を払っておさまった。郁子がき、金を置いて去った。数日後、淳は郁子に金を返した。--彼らは、葉山の海岸で最後の夏休()みを送って()いた。郁子は、アルバイト()を探すために東京に帰る淳と一緒になった。郁子は秋山物産のア()ルバ()イトを世話すると約束し、家に誘った。室で、淳は郁子をベッドの上に()押し倒した。数日後、帰りに郁子が待っていた。淳は俊()夫の車に乗って去った。淳は郁子に()束縛されるのがいやで、アルバイトをや()めた。アパートに訪れた郁子に、あの夜のことは遊びにす()ぎず、二人は無関係だと言った。藤枝がアメリカへ行くことになった。俊夫が仲間が欠()けるなら解散しようと言い出した。森下は、最後の馬鹿でかい遊びをしてからにしようと郁子の銀行帰りを狙って金を()奪うと言った。俊夫に拳銃を借り()た。車の()中で郁子を待つ森下は緊張()し、淳は無表情にハンドルを握()っていた。森下が郁子の鞄を奪った。淳が森下に飛びかかった。森下の拳銃が火を吐いた。淳は重傷に耐え、()車で森下をひ()き倒した。淳は郁子()に鞄()を渡()した。郁子は中から白い紙片を取り出した。お金は入()っていなかった。淳の「あれは遊びだったんだ()よ」と呟く声は次第に聞こえなくなった。
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